「その痛み仙腸関節障害が原因?」主な症状と3つのセルフチェック法
坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)で原因不明、あるいは広く腰痛症と診断された場合、それは仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)が原因になっているかもしれません。
慢性腰痛の原因の一割からニ割を占めるとも言われる仙腸関節障害は決して珍しいものではありませんが、レントゲンやMRI、CTスキャンなどの画像検査で診断することは困難です。
また、症状が腰部椎間板(ようぶついかんばん)ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)に似ているため、なかなか特定できないという特徴があります。
こちらでは、そんな仙腸関節障害の原因や症状、またセルフチェックの方法をご紹介します。腰痛がなかなか治らないという方は参考にしてくださいね。
この記事の目次
仙腸関節障害とは?
仙腸関節は骨盤(こつばん)の一部を成す腸骨(ちょうこつ)と脊椎(せきつい)の根本にある仙骨(せんこつ)をつなげる関節です。関節といっても可動域は1mmから2mm程度と言われており、ほとんど動くことはありません。
この関節の周囲には多数の靭帯(じんたい)が密集しており、強い力で仙腸関節を結束させています。背骨のバランスを根本から支えている仙腸関節周辺の靭帯に強い負担がかかり損傷する、あるいは関節に炎症が発生するなどしてトラブルが起きることを仙腸関節障害といいます。
発症しやすい年代と性別
仙腸関節障害は20代から70代までの女性に多いとされています。特に出産時期の女性に多く見られますが、これは妊娠中の女性の骨盤周辺の靭帯が出産に備えて伸びやすくなっていることが理由に挙げられます。
靭帯が伸びることで関節の可動域が拡大し、結果的に関節への負担が増え、炎症や痛みを誘発しやすくなるためです。そのため、産後の腰痛は仙腸関節障害の疑いが高まる傾向にあります。
また、外側から骨盤への強い力が加わることで靭帯が損傷を受けた場合には老若男女を問わず、仙腸関節障害を発症することがあります。これはスポーツにより同じ動きを繰り返した場合や事故などにより骨盤に強い力がかかることによって起こります。
しかしながら、総じて女性に多い病気であるということが指摘されています。
仙腸関節障害の原因にはどのようなものがあるの?
仙腸関節障害の代表的な原因には以下を挙げることができます。
・出産、偏った姿勢による持続的な外力の蓄積(ちくせき)
・事故などで突発的な強い外力を受ける
・スポーツや仕事で日常的に同じ動きを繰り返す
出産は前述した通り、骨盤周辺の靭帯が伸びやすくなっていることから起こりますが、他にも偏った姿勢、悪い姿勢を日常的に続けていると仙腸関節周辺に負担をかけ続けることになり、障害が引き起こされることがあります。
同じようにスポーツや労働によっても、繰り返し同じ動きを続けることで負担がかかることがあります。
仙腸関節障害の症状は?
仙腸関節は股関節などと同じように身体の左右に二つありますが、特に障害が出ている側の腰からお尻、下半身に痛みやだるさ、違和感などの症状が出ることが一般的です。
症状の出やすい代表的な部位としては、
・腰
・臀部(でんぶ・お尻)
・鼠径部(そけいぶ・足の付け根)
・下肢(かし・脚)
が挙げられます。
これらの部位に痛みや違和を感じる症状は、坐骨神経痛の代表格である腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんちょうさくしょう)の症状と似ていることもあり、混同されがちです。
また、腰椎(ようつい)の土台となっている仙腸関節周辺にトラブルが起きることで、腰椎に関連した病気を併発(へいはつ)していることも考えられるので、診断は正確に行う必要があります。
悪化すると日常生活に支障が出ることも
特に仙腸関節障害により慢性腰痛が引き起こされている場合には、日常生活の中で以下のような問題が起きることがあります。
・車を長く運転できない
・イスに長時間座れない
・痛みがある側を下にして横向きで眠れない
・歩き始めに痛みを感じる
仙腸関節障害では歩行開始時に痛みがあっても徐々に楽になるという場合が多いようです。
これは脊椎狭窄症の症状に見られるような長時間の歩行が困難になる間欠性跛行(かんけつせいはこう)とは異なる症状なので、原因を見分けるための目安になりますね。
セルフチェックの方法
仙腸関節障害では画像診断は困難であり、徒手(としゅ)検査によって調べることになります。基本的に診断は専門家に任せる必要がありますが、セルフチェックをすることで自分でも判断することができます。
セルフチェックをする場合は、患者と検査をする人に分かれて行ってくださいね。
パトリックテスト(Patrick Test)
パトリックテストは患者の足を4の字に組み、上からひざを押さえることで股関節や仙腸関節に異常がないかを調べる方法です。
■STEP1 患者はあお向けに寝て、検査したい方のひざを曲げます。
■STEP2 曲げた足のかかとを他方の足のひざ頭に乗せます。
■STEP3 検査する人は片手で患者の検査したい方のひざの内側を上から押さえるように力を加え外転(がいてん)させます。同時に他方の手で検査している足とは反対側の骨盤のでっぱり(上前腸骨棘・じょうぜんちょうこつきょく)を押さえます。
この検査では股関節と仙腸関節の異常を調べることができます。股関節のみに痛みを感じる場合には仙腸関節障害ではなく股関節に痛みの原因があると考えられます。
当然ですが、仙腸関節に痛みを感じるようであれば仙腸関節障害を疑う必要があります。痛みの位置がわかりにくい場合は、お尻付近に痛みがあるようであれば仙腸関節障害の可能性が高いという目安にすると良いでしょう。
ゲンスレンテスト(Gaenslen Test)
ゲンスレンテストは患者の片足を曲げ、もう一方の足を伸ばすことで仙腸関節にストレスを与える方法です。
■STEP1 患者はベッドの端に仰向けに寝ます。
■STEP2 検査をしたい方とは反対側のひざを胸の前で抱えます。
■STEP3 検査をしたい側の足をベッドの外に出し、下ろしていきます。
■STEP4 検査をする人は片手で持ち上がっている方のひざを押さえます。同時に他方の手で下っている足のひざを上から押さえ、少しずつ力を加えていきます。
伸ばした側の間接に痛みを感じるようであれば仙腸関節障害の可能性が高いと言えます。
また足を胸の前で抱えた時に痛みを感じるようであれば、それ以上先には進まないように注意してくださいね。
ヒッブステスト(Hibb’s Test)
ヒッブステストでは仙腸関節が正常に機能するかどうか、また股関節に正常な可動域があるかどうかを調べることができます。
■STEP1 患者はうつ伏せに寝て、検査したい方の足のひざを曲げます。
■STEP2 検査する人は、曲げた方の足首を掴み、外側に倒していきます。同時に腰の後ろにある出っ張りに空いた方の手を触れさせておきます。
検査中に仙腸関節に痛みが出れば障害のある可能性が高いと言えます。また、外側に足を倒していく時の角度が40度前後ならば正常ですが、0度から20度、または50度以上であれば関節の可動域にも注意を払う必要が出てきます。
おわりに
いかがでしたか?
こちらでは仙腸関節障害の原因や症状、セルフチェックの方法をご紹介しました。病院で診察を受けたのに、なかなか症状が改善しないとしたら原因は腰にあるのではなく仙腸関節にあるのかもしれませんね。思い当たることがあれば、専門医を訪ねることをおすすめします。
また今回は3つのセルフチェックをご紹介しました。手軽にできるものばかりなので、ぜひ試してみてくださいね。
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坐骨神経痛の痛み・痺れは一時的に良くなっても、再発しやすい症状ですので、
やはり根本改善をしていくべきだと思います。
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